実は私は大学を卒業後初めて「世の中のカツ丼とは、こういうものであったか」を知った。(中略)どんぶりの蓋をあけて驚いた。カツ丼にタマネギが入っている。しかも玉子で綴じてある。そして多少の甘みはあるが、基本は塩味だ。
私が子供の頃から家で食べていたカツ丼は、まったく別種のものだった。
「残るは食欲」阿川佐和子・著(「カツサンド観測」より)
カツ丼と言えば、トンカツを適当な幅にカットして、出汁と合わせた溶き卵で包んで白米に載せて食べるのが一般的だが、阿川家では一味違うそうだ。
つい昨日、阿川佐和子さん著のエッセイ「残るは食欲」を読んでいたら、無性にトンカツが食べたくなって晩御飯に早速カツを買って食べた。阿川家では「前の晩のトンカツが余った時に」つくるそうなので、あえて半分残し、その分をカツ丼に…。
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阿川佐和子さんの「かつ丼」を作ってみた

冷めたトンカツを二ミリほどの薄さに切って、小さな片手鍋に並べ、上から少量の水を注ぎ、火にかける。軽く煮立ってきたら、砂糖少々とケチャップを加え、最後にウースターソースか醤油を垂らして味を調整する。前の晩のキャベツの千切りも残っていたらたっぷり加え、少しだけ煮込む。それをご飯の上に載せるのが、ウチ流のカツ丼だった。
「残るは食欲」阿川佐和子
エッセイの中では詳しい分量は記載されていないので、想像で作っていく。ごはんに載せるから、それなりに味はついていたほうが良い。煮詰めると表記があるから、煮詰められる量の水が必要で…。と、そう考えて、本日は下記のレシピで調理してみた。
●材料
- 水…50ml
- ケチャップ…大匙1
- 砂糖…小匙1/2
- ウスターソース…小匙1
(ウスターソースではなく、醤油でもよい)
①カツを2mm幅にカットする

2mm幅ってかなり薄切り。普段かつ丼を作る時は、せいぜい8mm幅、基本は1cm程度に切っているので、合っているかしらと何度か本を読みなおした。
②小さめの片手鍋にカツを並べ、水を注ぎ、火にかける。

③水がふつふつと煮立ってきたら、そこへ砂糖とケチャップを入れ、ウスターソースで味を調える。
この時、もし前夜の千切りキャベツが残っていたら一緒に加えて軽く煮詰める。

④白米の上にカツをのせて、完成。

ケチャップの甘い香りがしっとり柔らかなカツに絡んで、なんとも優しい味わい。卵でとじられたかつ丼の染み渡るような優しさとは異なり、不器用な遠慮がちな優しさ。
チキンライスと言い、ナポリタンと言い、ケチャップベースの料理には独特の優しさがある。それが初めて食べた料理でも、ずっと前から見知っていたような、思わず「ただいま」とつぶやきたくなるような、そんな味。
またカツだけでなく、衣のしっとり具合がとても良い。煮込む過程でカツから剥がれ落ちたパン粉がケチャップを最も吸っていて、これだけでご飯が進む。
健康志向の人に厭われがちなカツの端っこの部分、あのほとんど脂と衣だけの箇所が一番ごはんに合う。今度からカツを食べる時には端っこの部分だけ、先に切り落としておいて、その部分だけでも翌日にケチャップ煮込みにしようかと思うくらい。
けれどやっぱりカツでもハンバーグでもステーキでも、左端から口へ運ばないとなんとなく落ち着かないので、残せるとしても右端のちょこっとだけになりそうだ。
最後に|家庭の味
家庭の味って不思議なもので、おおざっぱなレシピでもいつも同じように作れるよな、と思い当たる。だからこそ他人が作る時は手探りで行うしかないのだが、それもまた楽しい。
今日のレシピは優しい味わいで私はそれなりに満足しているのだが、カツにまでは味が染みなかったので、今度はもう少し味濃いめに作ってみようと思う。
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