上品な味わい｜冷やしトマトのさっぱり漬け

桜はとうに散り、近所の小学校の運動会も終わった。　外に出るのが億劫になり、信号の待ち時間にはパタパタと首元を仰ぐ。

夏が近づくと、毎年思う。

「今年の夏は、来るのが早い」

と。

体温が高く、身体に熱がこもりやすい体質ゆえ、はっきり言って夏は苦手。

しかしそんな夏にも好きなところがある。野菜が美味しい点だ。

スーパーへ行くと、赤、黄、緑、つやの良い野菜たちがずらっと並ぶ。ズッキーニ、オクラ、パプリカ。冬場にはなかなか見かけず、まれに見かけてもどこか痩せこけて情けない姿だった彼らが、ぱんぱんつやつやの姿で並んでいる。

夏はスーパーへ行くのが楽しい。

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先日はトマトを買った。はりつやの良い中サイズのトマト。

SNSを見ていたら、湯剥きをして白出汁につけると美味しいという情報を見かけ、さっそく作ってみた。

さっぱりしたかったので、白出汁と同量の酢を合わせ、そこに湯剥きしたトマトを漬けて一晩寝かせた。

翌日の夜、何も言わずに家族に出すと、

「えっうま！」

妹が言った。

「ただのトマトと思って食べたけど、これなに？何かに漬けてる？」

白出汁と酢に漬けていることを伝え、自分もぱくり。じゅわっと漬けだれが口内に広がる。ツンと爽やかな酢の香りに、白出汁の華やかな風味と溶けるように甘いトマト。なんて美味しいんだろう。一晩、冷蔵庫のチルド室で休ませただけあってキンキンに冷えており、その冷たさが美味さを倍増させている。

今度は茄子やオクラ、みじん切りにした玉ねぎを入れて作ってみよう。

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〈レシピ〉冷やしトマトのさっぱり漬け