じぇじぇじぇ!
わんこそばにじゃじゃ麺、そして盛岡冷麺と麺の美味しい岩手県。
そうは言っても、冬などマイナス10℃にもなる岩手県でなぜ「冷麺」が名物にまでなったのだろう。
昨年の11月、運転免許をとるための合宿先に岩手県・平泉にある教習所を選び、2週間岩手へ行っていた。
その時に感じた岩手の魅力とともに、名物料理、盛岡冷麺の歴史などをまとめた。
岩手県の見どころ・特徴
岩手県の特徴と言われて、あなたは何を思い出すだろうか。やはりその広大な大地だろうか。
家族に聞くと、こんな反応が返ってきた。
ねぇ、岩手県の特徴ってなんだと思う?
えぇ、何かしら・・・。さ、、寒い…。あとは、海産物が美味しい…。小岩井農場がある…。
母は指折り数え、すこし言葉を溜めたあとで最後に一言言った。
岩手って、東北のなかでは地味な県よねぇ
・・・・・・・・OMG!
岩手県が大好きな私は絶句した。しかし確かに私自身、実際に岩手に足を運ぶまでは、かの童話作家の印象しかなかった。
そこで岩手県の特徴をまとめてみた。
- 本州で1番土地が大きい
- 宮沢賢治が生涯を過ごした
- 世界遺産の街・平泉がある
- 花巻温泉がある
- 朝ドラ「あまちゃん」の舞台
この5つの特徴を知っても尚、あなたはまだ岩手県に特徴がないと思うだろうか。
本州で1番土地が大きい
岩手県と言われれば、その土地の広大さを真っ先にあげる人も少なくない。
その面積は国の4%を占めており、全国でみても北海道に次いで大きな都道府県である。
そのため岩手県民はなかなか県を超える移動はしない。
宮沢賢治が生涯を過ごした
「風の又三郎」や「注文の多い料理店」「銀河鉄道の夜」などの作品で有名な宮沢賢治が生まれてから、亡くなるまでを過ごした土地でもある。
岩手県に行くと、至る所で宮沢賢治を感じることができる。
個人的に「黄色のトマト」という作品が、一番印象に残っている。
岩手から帰ってすぐに宮沢賢治の短編集を買い、それをそのあとパン屋で読んだ。葉っぱから滴る露のきらめき、つんと鼻をさすほどの冷気がページをめくる手を通して伝わってきた。
家に帰って、私は気づいた。
その本を、そのパン屋に置いてきたことを。きっとご丁寧にも、表紙を上にしてあの角っこの席に置き忘れられているだろう。
そのパン屋は家から遠いことと、あまりのショックに私はもう忘れることにした。
世界遺産の街・平泉がある
日本には全部で25の世界遺産がある。そのうち岩手県は2つの世界遺産を抱えている。
1つは他の県と複合での登録なのだけど、もう1つは
「平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」
という名称で登録されている。
中尊寺を始め、毛越寺や金鶏山、観自在王院跡、無量光院跡という5つの遺産で構成されている。
寺院や庭園はこの世に理想世界を創り出そうとしたもので、海外からの影響を受けながらも日本独自に発展を遂げたもの。平泉のこれらの寺院・庭園はほかに例がないとされている。
小岩井農場
歴史的建造物として21棟の建造物が「国指定の重要文化財」になっている。
鉄道の父・井上勝が、鉄道事業に携わる中で潰してしまった「美田良圃(びでんりょうほ:美しい田と良い畑)」に対する後悔の念から創業を決意。
「小岩井」というのは、三人の創業者の頭文字をとってつけられている。
また、宮沢賢治の作品のなかにも「本部の気取った建物」「丘裾の脱穀塔」などという表現で小岩井農場内の建物が登場する。
朝ドラ「あまちゃん」の舞台
能年玲奈さんが主演で、世間に一大ブームを起こしたNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台・久慈市も岩手県にある。
NHKの朝ドラ制作チームは候補地選びも入念に行うことで知られている。現地でも知る人ぞ知るような風光明媚なスポットなどが発掘され、新たな観光スポットになることも珍しくない。
久慈駅前にある久慈市時情報交流センターYOMUNOSUでは、あまちゃんの展示が多数されており、自由に撮影ができるそう。
岩手県の名物料理
山もあり、海にも面している岩手県。ご飯が美味しくない理由が見当たらない。
- わんこそば
- じゃじゃ麺
- 磯ラーメン
- はらこ飯
- 餅
- 南部せんべい
わんこそば
「はい、じゃ〜んじゃん」の掛け声とともに、空いた器にどんどん一口サイズのそばが注がれていく「わんこそば」。
自分で蓋をするまでは容赦なく注がれることから、大食い・早食いと勘違いされがちだが、わんこそばとは本来「おもてなしの名物料理」。
400年以上昔、南部家第27代利直が江戸に向かう途中立ち寄った花巻での出来事。利直の旅の疲れを癒そうとそばをお椀に盛って出したところ、気に入って何度もおかわりをしたことが由来となっているそう。
じゃじゃ麺
盛岡市の郷土料理で、「わんこそば」「盛岡冷麺」と並んで「盛岡三大麺」と呼ばれる。
中華の炸醤麺(ジャージアンミエン)が元になっている。
終戦後の日本で「白龍」という店の初代店主が、盛岡の食材を使用して炸醤麺の屋台を始め、それを盛岡の人の口に合うようにすこしずつアレンジを繰り返すうちに盛岡独自のじゃじゃ麺が出来上がったのだそう。
磯ラーメン
岩手県大槌町のドライブインで誕生したとされている。
イカ、エビ、ホタテ、ワカメといった海の幸がトッピングされたご当地ラーメン。ウニやアワビといった高級食材がトッピングされることもある。
出汁は昆布や鰹節といった和風ベースのものが多い。
はらこ飯
炊き込みご飯の1種。盛岡のほか、仙台などでも駅弁として売られている。
醤油やみりんと一緒に鮭を炊き込み、盛り付けの際に鮭の身といくらをふんだんに盛り付ける料理。
餅
これは平泉・一関の名物料理。
由来は江戸時代。一関を治めていた伊達藩の命令によって毎月1日と15日は餅を供え平安の無事を祈り休息日とする習慣があった。
貧しい農民たちは、「しいなもち」というくず米に雑穀を混ぜたものを食べていたのだが、それをどうにか美味しく食べようと試行錯誤する中で独自の餅文化が発展した。
南部せんべい
南部藩の野戦食として450年以上昔から食べられてきた。
身近にあるもので作ることができ、保存が利くため重宝された。
ごまと落花生がツートップ。
お土産にもおすすめ。
盛岡冷麺に興味を持った理由
2021年11月、転職の合間にできた3週間に行った免許合宿in平泉。
無事に教習所を卒業した私はせっかく憧れの岩手に来たからと盛岡にも立ち寄ることにした。
その日の夕飯、わんこそばの店へと向かう道中、「盛岡冷麺やっています」というチラシの多いこと。
それまでファミレスの盛岡冷麺しか食べたことがなく、その時の冷麺があまり美味しくなかったこともあって、あまりそそられることはなかった。
わんこそばで腹をぱんぱんに膨らませ、その翌日、白い息を岩手に残して、東京へと新幹線に乗った。
東京駅に降り立つと、「あぁ帰ってきたのだ」という安心感とともに、空気をぬるく感じた。そこで岩手がどれだけ寒かったのか、と実感し、ついである疑問がわき起こった。
どうして寒い岩手県で「盛岡冷麺」なんてものができあがったんだろう。
気になるとたまらなくなって、東京から千葉へと向かうグリーン車のなかで、私は盛岡冷麺の生い立ちを調べ始めた。
盛岡冷麺の歴史
盛岡冷麺の生い立ちは今より50年以上昔の、1954年。
盛岡の麺職人である青木輝人さんが「食道園」というレストランを開店させる際に朝鮮半島に伝わる咸興冷麺と平壌冷麺を組み合わせた新しい料理を創作したのがきっかけ。
咸興(ハムン)冷麺は甘辛いタレと麺を合わせたまぜ麺で、
平壌(ピョンチャン)冷麺は、ミルクのようにまろやかな高麗キジのだし汁に、大根の水漬け「冬沈漬(トンチミ)」の汁を加えてあっさりと仕上げたスープ冷麺である。
これを高麗キジの出汁ではなく、それに風味の似た牛スープに、酸味のあるキムチを組み合わせて作られたのが盛岡冷麺。
どうして盛岡の麺職人さんが朝鮮半島の冷麺を組み合わせようなんて思ったんだろう?
と、思い調べてみると、青木さんはもともと朝鮮半島のご出身。
また、盛岡冷麺の麺はコシが強く、表面はツルッと喉越しが良い。
他県で「冷麺」と言われているのは平壌冷麺。
盛岡冷麺との違いは以下の通り。
盛岡冷麺 | 平壌冷麺 | |
材料 | 小麦粉 | そば粉 |
麺の色 | 半透明・黄色っぽい | 灰色・黒っぽい |
出汁 | キジ肉、骨 | 牛骨、鶏ガラ |
他県の冷麺とは明らかに違う盛岡冷麺。盛岡に行ったらぜひご賞味あれ!
また岩手に行ったときには、絶対に食べるぞ〜〜!
盛岡冷麺の取り寄せ
本場で食べたくなってきたけれど、千葉から岩手へ行くには時間もお金もかかる。そこで盛岡駅でもお土産用に売っていたインスタントの盛岡冷麺を調べてみることに。
次岩手に行けるのは少なくとも半年先になりそうだから、その前にお取り寄せで食べてみよう〜(^^)
ぴょんぴょん舎
「盛岡冷麺」と調べるとトップに出てくるのがぴょんぴょん舎の盛岡冷麺。
地元の冷麺通に育てられた店で、キムチは冷麺専用に漬けている。
本店は盛岡駅から車で10分程度の場所にある。
また、お中元セットもあるので、麺好きなひとへのお中元にもおすすめ。
焼肉冷麺・髭
焼肉屋でもあるため、お肉にもこだわっている盛岡冷麺のお店。
牛すじ、地元産の野菜などを使用したスープは、思わず飲み干す人も多いのだそう。
焼肉冷麺・ヤマト
麺、辛味カクテキ、ネギ、チャーシュー、燻製卵など具材が個別にキレイにパックされている。
プレゼントにしても喜ばれそうな包装も良い。
やっぱり食べるなら本場の盛岡冷麺
キジ肉や牛骨のスープのとりかた…、トンチミ(大根の酢漬け)、キムチの漬け方によっても風味の変わる盛岡冷麺。
ファミレスで食べた時にはいまいちだったけれど、専門店で改めて食べてみたい。
郷愁と人の評判によって作られた盛岡冷麺。
お店によって味も違うようなので、盛岡冷麺の食べ歩きをしてみるのも良いかもしれない。