見かける度に親しみを覚える野菜がただひとつだけある。それが豆苗だ。
豆苗はえらい。キャベツが半玉400円した頃も、トマトが3個で500円近くした頃も、アスパラガスが一束400円近くした頃も、えのきやしめじが150円近くした頃も、豆苗だけは通年税抜き98円でそこにいる。あのもやしですら、おおよそ10円値上げをしたというのに。
豆苗はえらい。私は豆苗の変わらぬ姿勢が大好きだ。
正直言って、もともとは豆苗独特の青臭い匂いが苦手だった。中華料理屋でほかの人々が「まずは豆苗の炒め物でしょう」と言ったとしても、私は何の変哲もないキクラゲを頼みたい気分だった。
あとはあの図太い繊維のじゃきじゃき言う食感も苦手だったっけ。
そんな豆苗に親しみを覚えるようになったのは、本当にここ2,3年のこと。それこそ野菜高騰のニュースが春夏秋冬、大体的に報じられるようになってからだ。
スーパーに立ち寄ると、なぜか豆苗の前を通りがからずにはいられない。そしてひとたび目が合えば、手に取らないと申し訳ないような気持ちにすらなる。
豆苗と親しくなってから、様々な料理をつくった。豆苗サラダ、ササミと豆苗のヤンニョムソース和え、炒り卵と豆苗の和え物などなど。
今日は、意外と作ったことのない「豆苗と卵のオイスター炒め」を作ってみた。豆苗は火が通るのが早いので、さっと5分程度で完成した。
ごはんを片手に、湯気の立ちのぼる豆苗と卵のオイスター炒めをつかむ。一口頬張れば、やさしいオイスターの香りが口いっぱいにそっと広がる。とろっとした卵のあまみ、タレの絡んだ豆苗のじゃきじゃきという食感。
調理している最中は、タレのどす黒さに味が濃いのではないかと懸念していたが、食べてみると驚くほどやさしい味わいであった。
二人前作ったのに、気が付けば三分の二も食べてしまった。

豆苗は使い終えると、肉や魚の乗っていた発砲スチロールのトレーの上で育てる。週に2回も3回も豆苗を買うと、まな板を置くスペースすら危うくなるので、買う頻度だけは悩みもの。
それでも新鮮な豆苗が食べたい時には、どうしても追加で豆苗を買ってしまうのだが。生の豆苗と、茹でたササミ、ゆで卵、マヨドレッシングをボウルでがっと混ぜたサラダは最高に美味しい。
〈レシピ〉豆苗と卵のオイスター炒め
◆豆苗と卵のオイスター炒め
○材料
- 豆苗…1パック
- 卵…3個
- コショウ…少々
- A)オイスターソース…小匙2
- A)砂糖…小匙1
- A)醤油…小匙1
- A)酒…大匙1
○つくり方
- Aの調味料は全て合わせる。卵は溶き、塩コショウで軽く味をつけておく。
- 中華鍋(フライパン)を熱し、油を温める。
- ②が温まったら、①の溶いた卵を鍋に入れて半熟状になるまでふわっと炒める。炒まったら、一度鍋から出しておく。
- 中華鍋に油を足し、豆苗をさっと炒める。①で和えたAの調味料を加え、さらにさっと炒めたら、最後に③の卵を戻してさっと和えて完成。
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